以前、テレビプロデューサーであり
演出家の佐久間 宣行(さくま のぶゆき)さんの
『佐久間宣行のずるい仕事術』で
以下の内容が紹介されていました。
「正論」は、
まっすぐ吐くと、
たいていは嫌われる。
だから言いたいことがあるときは、
伝え方に気をつけよう。
コミュニケーションは
「最短距離」より「平らな道」を行くことだ。
相手を不機嫌にしても得はない
論理的に正論を言うと、
どうしても会社や相手の否定になったり、
「あなたよりわかっている自分」を演出することになる。
目の前の人を不機嫌にして得をすることなど一つもない。
じゃあ、どうすればいいか。
会社や上司の方針とぶつかりそうなとき。
そんなときは自分を下げよう。
「失敗を糧にする」
僕は深夜番組や子ども番組で
それなりの実績を上げた30代半ば、
テレビ局の花形とも言える
ゴールデン番組への打診を何度か受けた。
評価してもらえるのはありがたい。
けれど、そのたびに断った。
会社の生態系で言えば、
視聴率を稼げるどまんなかの番組をつくる人ばかりでなく、
変わった番組をつくれる人もいたほうがいいと思ったからだ。
でもわかってもらえず、
会社とは何度もケンカした。
ただこれは僕が悪かった。
「誰でもつくれる番組より、
僕にしかできない番組をつくったほうが
会社の利益になりませんか?」
と、自分を抑えずどストレートに伝えたからだ。
すると、
過去のゴールデンをつくってきた人たちはメンツを潰され、
「やりたいことだけやる言い訳をするな!」と怒る。
泥仕合だ。
でも、あるとき気がついた。
こんな態度じゃ、
いつまで経っても会社と仲良くできない。
そこで、言い方を変えることにした。
「僕はゴールデンの番組をつくるのが苦手なんです。
全然、企画を思いつきません。
だからそれは得意な方にやっていただいて、
僕は自分なりに精いっぱい、
会社に貢献できる仕事をさせてもらいたいです。」
言っていることは同じだけれど、
それ以来、パタッと打診は止んだ。
ほんとうになにも言われなくなった。
正面突破で衝突することも悪いわけじゃない。
でもそれはデコボコだらけの悪路を走るようなもの。
物事を前に進めるにはやや効率が悪い。
一方、意見を戦わせることなく
「会社のため」と「自分の未熟さ」を伝えると、
それだけで一本道が舗装される。
燃料補給地(協力者)も増える。
目的地に、スムーズにたどり着けるのだ。
自分を捨てきれない状態で
「俺」を打ち出して戦うとロクなことがない。
相手のメンツを潰した瞬間、
自分の可能性も潰されてしまうのだ。
『佐久間宣行のずるい仕事術』より
この本に25年前に出会いたかった。
ある上司からは「正論オバケ」と
呼ばれたことがあるくらい、
私は真正面から正論をぶつけるタイプの人間だった。
そのファイトスタイルで
どれだけ周りの人を苦しめたのかと思うと
今は申し訳なく感じるばかり。
スリーフラッグスの中にも
チラホラ見かける正論オバケ予備軍ちゃん達。
私と同じ道を歩んではいけませんよ。
遠回りしてでも相手側に寄り添った表現、
自分を下げているように見せて目的に到達する
テクニックを身に付けてくださいね。