以前勤めていた会社、部下(A君)のお話です。
バイタリティーあり、
ボキャブラリーあり、
ユーモアセンスあり。
頭の回転もよく、咄嗟に反応もできる。
期待の新人でした。
営業研修も終わり、
1人で新規開拓に出るも、
2ヶ月、3ヶ月経っても、
新規案件は決まらず。
営業日報はぎっしり。
「なんでだろう」と首を傾げる私。
気分転換にチームで
アポ取り件数だけを争うイベントを開催。
A君は順調にアポ取り獲得。
よし、いいぞ、いいぞ!
A君がアポ取りしたクライアントを
契約させてあげたいと同行することに。
1件目の最寄り駅 新宿に着くと、
A君の携帯に着信。
「あ~、そうですかぁ、
わかりました。日を改めますね」
2件目の最寄り駅 中野坂上に到着。
A君の携帯に再び着信。
「わかりました。
全然大丈夫ですよ、また連絡致します」
「木島さん、
このお客様も都合悪くなったみたいです」
「わかった。事務所に戻ろう」
自席に戻らず、会議室に直行。
「今月のアポ取り9件の内、
何件が嘘なのかな?」
みるみる顔が硬直するA君。
「どうせわかることなんだから
正直に言ってみなさい」
A君は泣きながら
「全部嘘です。0件です」
「いやいやいや、
俺の目の前で2件獲得してたでしょ」
「あれ、実は電話繋がってないんです」
繋がっていない電話に3分、5分と
小芝居を打てるだけの努力ができるなら、
何故、営業を頑張れなかったのだろうか。。。
結局、
それがきっかけで退職することになったのですが、
彼が残した言葉が忘れられない。
「こんなに早く見抜いたのは木島さんが初めてです」
彼はこのやり方で過去、
何社も2~3年居座ることを
続けてきたというから驚きだ。
彼がイケメンだったら、
結婚詐欺師になっていたんだろうな(´;ω;`)ウゥゥ
我が社にも残念ながら
嘘の上塗りをし続けた社員がいました。
「おばあちゃんが具合悪くて
病院に連れて行ってから出社します」
「持病の喘息が出て、落ち着いたら行きます」
年月を重ねる事に遅刻は増える一方。
「今の生き方でいいのかい、
嘘をつく度に自分の心も削られちゃうよ」
「申し訳ありません。
もう二度と嘘はつきません。」
その後、遅刻はかなり減りましたが、
1年経たずに無断欠勤のまま退職。
長い人生の中で「嘘」を
咄嗟に付いてしまう人を何人も見てきました。
共通して言えるのは、
小さな嘘から始まり、
少しずつ嘘をつく事に慣れ、
やがて自分の居場所を無くし、
最後には身を滅ぼしていくということ。
防衛本能からくる咄嗟の嘘であっても、
その嘘がやがて自分にとって大事な人を
失望させることに繋がっていきます。
どうせ嘘をつくなら、
「自分を守る為の嘘」ではなく、
誰かを傷つけない為の
「優しい嘘」をついてもらいたいな。