今現在、コロナウイルスで世界がパニックの中、
前例のない卒業式や卒園式の形がニュースに
なっております。
私達が今まで当たり前のように参加していた行事が、
何の規制もなく、普通に執り行えていたことが
どれだけ有難いことなのかを感じている人は
多いのではないでしょうか。
私もそんなことを考えていたら、
ふと、娘の卒園式を思い出しました。
その保育園では毎年、お子さんが手紙に書いた
将来の夢を語り、向かい側に立った親御さんが
我が子を "ハグ" するというイベントがあります。
それは卒園式の中でも一大イベントで、
ほとんどの親御さんが我が子の成長を喜び、
涙する素敵な時間となります。
次々と知っているお子さん達が手紙を読み上げ、
お母さんが嬉し泣きしながらハグしていました。
そんな中、けんちゃんという男の子の番になりました。
向かい側には、優しい顔をしたお父さんの
姿がありました。
ずっとお母さんという流れだったのに、
急にお父さんが向かい側に立っていたのです。
けんちゃんは、誰よりも元気いっぱいに、
「僕は将来、お父さんのようなケーキ屋さんに
なりたいです。」と言ったのです。
素直そうな "けんちゃん"
とても優しそうな "お父さん"
このお父さんのお人柄を見ても
離婚することは到底考えられない。
お母さんはもしかしたら死別されたのかも知れないな。
奥様を亡くされた後、
お父さんが男手ひとつで息子を育て、護り、
頑張ってきたからこそ、少しの影も感じさせない
元気なけんちゃんのまま過ごせているんだ。
お父さんは日々、本当に頑張ってるんだろうな。
そして、けんちゃんもお母さんが亡くなった
悲しみにも負けず、お父さんと一緒に前を向いて
生きている。
想像していくうちに涙腺が壊れてしまい、
私の前にいるたくさんの親御さんが何事か?
と振り返るほど、声を出して嗚咽してしまいました。
最終的には、保育園の先生が
「どうかされましたか、大丈夫ですか?」
と背中をさすられるほどの状態で、
前に座っている嫁は困惑顔。
そんな素敵なけんちゃん親子の微笑ましい
ハグの時間も終わり、
席に戻る姿を涙目で追っていると、
な、な、なんと、
けんちゃんのお母さんらしき方が、
生後間もない赤ちゃんを抱っこしながら、
けんちゃんの頭をなでなでしているではありませんか。
お母さんは死別されたのではなく、
小さな赤ちゃんを抱っこしている為、
代わりにお父さんがハグする係になったと
いうだけの話だったのです。
私は、はじめからずっとお母さんがハグする
流れだったことから、急にお父さんが登場したことで、
勝手に死別されたと思い込み、
けんちゃん親子の感動ストーリーを
想像の中で作り上げていたのです。
他の親御さんや保育園の先生が
「なんで関係ないお父さんが嗚咽するほど
泣いているんだろう」
と不思議がるのも無理はありません。
その瞬間、私の涙は光よりも速い速度で引っ込み、
泣き顔から赤ら顔に変わっていきました。
その後、運悪く、娘の番が直ぐにきて、
「私は将来、ペットショップで働きたいです。」
と将来の夢を立派に語ってくれましたが、
けんちゃん親子のときに、
私の涙は枯れ果ててしまったようで、
肝心の娘の時には一滴も涙はこぼれませんでした。
娘よ、すまん!!
職場で働く社員には、相手を思いやる心を持つには、
「想像力」が大事!
と言い続けてきましたが、
想像力もほどほどに。
と感じた卒園式となりました。
まだまだ、コロナ拡大の脅威に怯える
日々が続いております。
不謹慎に聞こえるかもしれませんが、
そんな時だからこそ、皆さんに笑顔になって頂きたく、
こんなブログを書いてみました。
安穏の日々よ、早く訪れてくれ!!